水銀条約
「水銀に関する水俣条約」を採択…水銀の採掘や輸出入など規制
国境を越えて広がる水銀汚染と健康被害を防ぐため、国連環境計画(UNEP)が水銀の輸出や含有製品の販売を原則として禁じる条約の素案をまとめました。
RoHS規制に合流。
「公害の原点」とされる水俣病を教訓に、水銀の採掘や輸出入、水銀を使った製品の製造を規制する「水銀に関する水俣条約」が2013年10月10日、熊本市で開かれた外交会議で採択された。
水銀の排出を世界的に抑え、健康被害を防ぐことが目的で、各国は今後、署名、批准手続きを進める。会議を主催する国連環境計画(UNEP)は、2016年の発効を目指している。
条約の前文には、水俣病を重要な教訓とし、水銀による健康被害や深刻な環境汚染を防ぐことを明記。水俣病の悲劇を二度と繰り返さないという決意を込め、日本政府の提案で「水俣条約」の名前がついた。
条約は10日午前、約140か国・地域の代表ら約1000人が参加した本会合で、全会一致で採択された。これに先立ち、議長を務める石原環境相は10日午前、「我が国が(条約を採択する)今を迎えているのは水俣の悲しい歴史があったからだ。短い期間で40、50という国が批准していき、条約に命を吹き込もう」と呼びかけた。国連の潘基文パンギムン事務総長は、「水俣条約は地球環境にとっての大きな前進。何百万人という、最も弱い人たちを守るものだ」とメッセージを寄せた。
(2013年10月10日 読売新聞より)
【水銀条約素案の骨子】
▽目的 水銀と水銀化合物の人為的排出から健康と環境を守る。
▽供給削減 鉱山から採掘した水銀を禁輸する。
▽保管 新たに策定する方針に基づき、適正管理する。
▽貿易 輸出通知書の提出と、輸入同意書を取り、認められた場合のみ輸出できる。
▽水銀添加製品の使用 付属書で適用除外用途として登録しない限り、製造、流通を認めない。
▽大気への排出 最良技術の適用を義務づけ。年間排出量の多い国は削減目標と行動計画を策定。
蛍光灯などの照明(水銀灯、メタルハライド、セラミックハライド)、電池、計測器、 スイッチ、虫歯治療材の主要製品5種の製造、販売、流通、輸出を原則禁止。